診療科

呼吸器内科

診療科の特徴

肺を中心とした呼吸器の病気を診る科です。
様々な病気がありますが、主な疾患は慢性閉塞性肺疾患 を中心とした慢性呼吸不全、肺癌、肺炎、気管支喘息、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群などです。

睡眠時無呼吸症候群の診断・治療

簡易ポリグラフィー、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)を有し、PSGは2011年に2000例を超え、長野県最初の認定施設です。

慢性呼吸不全

呼吸リハビリ、栄養指導、在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法を施行し、勉強会、散策リハビリ、遠足などを行っている患者会「わかば会」の支援も当科・理学療法士・看護師・薬剤師・栄養科・地域連携室・近隣の先生方と共に行っています。

肺癌

放射線科、呼吸器外科と協力することで、気管支鏡、CT ガイド下肺生検、胸腔鏡下肺生検などなるべく侵襲の少ない方法での的確な診断を目指し、放射線療法、レーザー治療を除く治療が行える体制となっています。

 

現在日本内科学会認定教育病院・日本呼吸器学会認定施設・日本呼吸器内視鏡学会関連認定施設・日本睡眠学会認定医療機関に認定されています。

主な疾患と治療方法

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細菌性肺炎

肺炎は“風邪をこじらせる”程度でもなり得るありふれた疾患です。しかし、日本人の死亡原因の第3位となっており、致命的となることもあります。

症状

せきやたん、発熱が見られることが多いのですが、誤嚥による肺炎などではこれらの症状がはっきりしないこともあります。倦怠感、食欲不振、胸痛等も起こります。特に老人では肺炎の症状が軽いことがあるので発熱、呼吸数増加、頻脈に注意が必要です。食欲低下、不活発、会話をしないなども肺炎を疑う症状です。

検査

診察、胸部X線写真、血液検査など

治療方法

軽い場合には飲み薬や注射の抗菌薬による1~2週間の治療で改善しますが、慢性の病気があったり、受診が遅れた場合には重症化して生命に危険が及ぶこともあります。
早期受診すると共に、予防には普段のうがいや健康管理が大切です。
また、インフルエンザワクチンや肺炎の原因菌で一番多い肺炎球菌に対する肺炎球菌ワクチンの接種により予防とともに感染した場合の重症化を防ぐことができます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症します。

症状

歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じる労作時呼吸困難や慢性のせきやたんが特徴的な症状です。

検査

長期の喫煙歴があり慢性にせき、たん、労作時呼吸困難があればCOPDが疑われます。
確定診断には呼吸機能検査が必要で、肺活量に対する最初の1秒間ではける量(1秒量)の割合が、70%未満で、閉塞性障害をきたすその他の疾患を除外できればCOPDと診断されます。
また、重症例では胸部X線写真で肺の透過性亢進や過膨脹所見が見られることもありますが早期診断には役立ちません。
高分解能CTでは肺胞の破壊が検出され、早期の気腫病変も発見できますが、COPDの診断には閉塞性障害の有無が重要となります。

治療方法

喫煙を続けると呼吸機能の悪化が加速してしまいますので、禁煙が治療の基本となります。
増悪をさけるためには、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。
薬物療法の中心は気管支拡張薬(抗コリン薬・β2刺激薬・テオフィリン薬)です。
効果や副作用の面から吸入薬が推奨されており、主として長時間気管支を拡張する吸入抗コリン薬や吸入β2刺激薬が使用されています。
気流閉塞が重症で増悪を繰り返す場合は、吸入ステロイド薬を使用します。長時間作用性β2刺激薬と吸入用ステロイドの配合薬も有用であることが証明されています。
非薬物療法では呼吸リハビリテーション(口すぼめ呼吸や腹式呼吸などの呼吸訓練・運動療法・栄養療法など)が中心となります。
低酸素血症が進行してしまった場合には在宅酸素療法が導入されます。
さらに呼吸不全が進行した場合は、小型の人工呼吸器とマスクを用いて呼吸を助ける換気補助療法が行われることもあります。
症例によっては過膨張した肺を切除する外科手術(肺容量減少術)が検討されることもあります。

気管支喘息

気管支に炎症が続き、さまざまな刺激に敏感になり、空気の通りみちが狭くなる病気です。
我が国では小児の5~7%、成人では3~5%が罹っています。

症状

炎症によって気管支の壁がむくんで、粘り気の強いたんが増え、さらに気管支を取り囲んでいる筋肉が収縮して気管支を狭くします。せきやたんが出やすくなり、ゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)を伴って息苦しくなります。
このような状態をぜんそく発作と呼びます。

検査

上に示したような症状が繰り返し起これば、ぜんそくの可能性があります。
呼吸機能検査で気管支の空気の流れが悪くなっていないかどうか調べます。
流れが悪い場合、気管支拡張薬というスプレーを吸って流れが改善するようであれば、ぜんそくの可能性が高くなります。
たんの検査でぜんそく特有の炎症がないかどうか、また血液検査でアレルギーの体質がないかどうかも参考になります。

治療方法

発作がないとぜんそくは治ってしまったように思われるかもしれませんが、ぜんそくの原因となる気管支の炎症は続いています。
炎症が続けばいずれまた発作が起こります。
したがって、日頃から炎症をおさえる治療(予防薬)をおこなうことが大切です。
その治療の主役がステロイドの吸入薬です。
ステロイドは長期服用すると様々な副作用を起こすことが知られていますが、吸入で用いる場合は副作用も少なく安全です。
ぜんそくの重症度に応じて気管支拡張薬とよばれる吸入薬や内服薬を追加することもあります。
アレルギーの原因物質が判っている場合は、できるだけそれを避けることも大切です。
喫煙はぜんそくを悪化させやすく、薬の効果を低下させるので禁煙しましょう。

間質性肺炎

肺は肺胞というブドウの房状の小さな袋がたくさん集まってできています。
間質性肺炎は、この肺胞の壁の正常構造が壊れて線維化(ケロイドのような傷あと)が起こる病気です。
肺胞の壁を通して人は酸素を取り込んでいますが、この壁が固く、厚くなるために、酸素を取り込みづらくなります。
間質性肺炎の原因はさまざまで、膠原(こうげん)病、じん肺、放射線、アレルギー性のものなどがありますが、原因不明のものを特発性間質性肺炎といいます。

症状

多くは50歳代以降に、労作時の息切れや咳嗽を自覚します。

診断

まず原因となる病気などがないかの検査を行います。
問診、身体診察に加えて、胸部X線写真や、CT、呼吸機能検査、運動時の血液中の酸素の量の低下の割合などから病気の勢いを評価し、病気の分類を推測します。
気管支内視鏡検査により肺の洗浄検査等を行うこともあります。
最も正確な診断は肺の組織検査によって行われますが、全身麻酔による手術を必要とするため、患者さんの状態によって施行すべきか検討しています。

肺癌

肺に発生する悪性腫瘍で肺そのものから発生したものを原発性肺癌といいます。
日本人の2人にひとりががんになるといわれる時代ですが、年間約8万人が肺がんになり7万人が死亡する、がんの中で最も死亡数が多い病気です。
また、5年生存率も20%強で、肝がんと並んで治療が難しいとされています。

症状

肺癌に特徴的な症状はありません。
肺癌の種類、発生部位、進行度によって症状は異なります。
せき、たん、倦怠感(だるさ)、体重減少、胸痛などさまざまですが、これらの症状はほかの呼吸器の病気でもみられます。
一方、血痰は肺癌の可能性が高く、速やかに専門病院受診をお勧めします。
日本人で最も多いのは無症状で、検診や、他の病気で胸部エックス線やCTを撮ったときに偶然発見される場合です。

検査
  1. 肺癌であることを調べる検査として、CT、痰の検査や気管支鏡を用いた細胞検査(病理学的診断)があります。胸水が貯まっている場合は、針を体内に刺して胸水を採取しがん細胞の有無を調べます。
  2. 肺癌の進行度(がんの広がり)を調べる検査には、全身CT、PET検査、脳MRI、骨シンチなどが用いられます。以上の検査で、肺癌の種類(小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)を明らかにします。小細胞癌と、非小細胞癌(小細胞癌以外のがん)で進行度に応じて治療法が異なります。進行度は、転移のないものから進行がんまで4段階に分けI期、II期、III期、IV期に分類し、さらに腫瘍の大きさやリンパ節転移の広がりによってA、B(Bの方が進行している)に分類します。
治療方法

極めて進行が早く、発見された時にはすでに転移している場合が多い小細胞癌と、小細胞癌ほど早く進行しない非小細胞癌では、治療法が異なります。
小細胞癌は、発見時にはすでに転移していることが多く、遠隔転移(脳や骨、肝臓、副腎、がん性胸水など:進展型と呼ばれる)がある場合は、抗がん剤治療を行い、遠隔転移がない(胸の中のリンパ節転移までに留まっている:限局型と呼ばれる)場合は、抗がん剤と胸部放射線照射の組合せが用いられます。抗がん剤はシスプラチンという強力な抗がん剤と、イリノテカンまたはエトポシドを組み合わせた2剤併用療法が用いられます。限局型では胸部に1日2回、週5日間で3週間放射線照射し、同時にシスプラチンとエトポシドを併用する抗がん剤治療を行います。抗がん剤治療は3週間~4週間を一つの単位(1サイクルまたは1コース)として4回繰り返します。
非小細胞癌は、IA期では手術のみ、IB期から手術可能なIIIB期までは手術後に抗がん剤治療を組み合わせるのが一般的です。最近では負担が軽い胸腔鏡による手術も広く行われています。手術が不可能なIIIA、IIIB期では胸部放射線照射と抗がん剤2剤を組合せた併用療法を行います。放射線照射ができないIIIB期、IV期では抗がん剤治療を行います。
最近、薬による治療を行う際は、非小細胞癌では、扁平上皮癌と非扁平上皮癌に分けて、より効果的で安全な薬を用いるよう医師が判断しています。しかし、進行肺癌については、現時点では、治る方の割合は多いものではありません。近年、分子標的治療薬と呼ばれる新しい薬が開発され、人によっては劇的な腫瘍縮小効果と延命効果が得られています。喫煙者は肺がんになりやすいだけでなく、薬が効きにくい、副作用がでやすいといった不利な状況が確認されています。喫煙は、肺癌の発生に強く関与することが証明されており、現在、最も重要な肺癌の予防対策は禁煙の徹底です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に無呼吸が繰り返される病気で、体に様々な障害を起こします。

症状

いびき、睡眠の途中で目が覚めてしまうことや、日中の眠気、起床時の頭痛、などがあります。昼間の眠気は、居眠り運転事故や労働災害などにつながり、社会的にも悪影響を及ぼします。

検査

問診などで、SASが疑われる場合、簡易睡眠検査、ポリソムノグラフィーという入院して行われる精密検査に進みます。
ポリソムノグラフィーから得られた無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)から、AHIが1時間当たり5回以上で、前述の症状がある場合にSASと診断されます。AHIが5~15回は軽症、15~30回は中等症、30回以上は重症とされます。

治療方法

経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive airway Pressure:CPAP)があります。マスクを介して空気を送り気道を広げる治療法で、中等症以上(AHIが20回以上)のSASで保険適用です。軽症のSASには歯科に依頼して口腔内装置療法が行われます。手術療法はSASの責任部位が明確な場合に適応され、小児でのSASは大半は扁桃肥大が原因で、扁桃摘出術が有効です。成人の場合は、責任部位が明確でないことが多く、手術療法は慎重な判断が必要です。

医師紹介

松尾 明美 (まつお あけみ)

副診療部長、呼吸器内科部長、睡眠呼吸センター長、副臨床研修センター長、病院再構築推進本部副本部長  平成5年卒

主な職歴

信州大学第一内科、小諸厚生総合病院、岡谷塩嶺病院

資格

日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医
日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
日本睡眠学会睡眠医療認定医師
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター
肺がんCT検診認定機構認定医師
日本結核病学会結核・抗酸菌病認定医
日本医師会認定産業医

専門分野

呼吸器科全般

堀内 俊道 (ほりうち としみち)

呼吸器内科医長 平成14年卒

主な職歴

篠ノ井総合病院、信州大学医学部付属病院

荒木 太亮 (あらき たいすけ)

呼吸器内科医師 平成24年卒

主な職歴

長野赤十字病院、信州大学医学部付属病院、長野市民病院

担当医表
呼吸器内科
担当医 荒木 松尾 曽根原
/加藤
荒木 堀内