心筋梗塞と補助人工心肺装置について

先日の松本山雅の松田選手の訃報には驚くとともに、心からご冥福をお祈りします。

さて、心筋梗塞で病院に運ばれてから補助人工心肺を装着?と記事にありましたが、

その補助人工心肺って何でしょう?装置を扱う臨床工学技士の立場からご説明します。

まずは心臓と肺の説明から・・・。

心臓は胸のやや左にある筋肉の袋状の臓器で、全身に酸素や栄養素を含む血液を送り出すポンプの役割を果たしています。肺は両胸にあり、酸素を血液中に取り込み、二酸化炭素を体内から排出する役割をしています。心臓も肺も、もっとも重要な臓器の一つであり心臓が止まってしまうと人は死んでしまい、肺も機能しなくなってしまうといずれ死に至ります。心不全や心筋梗塞などで心臓の働きが弱くなり、機能しなくなってしまうと、脳をはじめ体内の各臓器は働くことができなくなります。また、血液の塊が肺の血管に詰まってしまうような状態(肺塞栓、エコノミークラス症候群)や、肺の機能自体が弱くなってしまうような状態になると、全身の酸素が不足してしまい、各臓器は機能しなくなってしまいます。

このような患者さんに使用されるのが生命維持管理装置です。その中でも心臓と肺の機能を代行するのが、心肺補助装置(経皮的心肺補助装置:PCPS)です。この装置は、全身に血液を送る心臓の機能と換気をする肺の機能の代わりをする装置で、チューブを使って体外に血液を出して、心臓の代わりをするポンプと人工肺を通して豊富に酸素が含まれる血液を体に戻します。心臓の機能が弱くなってしまった患者さんには更に、大動脈(体内で一番大きな動脈)に風船のついた管を入れて風船の拡張と収縮を利用して心臓を補助し全身に血液を送る装置(大動脈バルーンパンピング:IABP)も同時に使用します。

ICUなど集中治療室では、このような各種生命維持管理装置を単独あるいは組み合わせて患者さんの治療に当たっていきます。装置の使用は長時間に及ぶことがありますので、装置の装着や維持管理、装置の使用の中止などは医師はじめとした臨床工学技士を含めた医療チームであたります。

このような装置は、生命の維持管理に必要ですが、できれば頻繁に使われないことを祈っています。