癌のことあれこれ
亡くなる日本人のおよそ三人に一人は、癌(がん)が原因とのこと。


■亡くなる日本人のおよそ三人に一人は、癌(がん)が原因とのこと。

癌がいかにポピュラーな病気かがわかります。

しかも癌の半数は治っているわけですし、亡くなった方の解剖で偶然みつかる癌もありますから、一生涯癌にかからない人の方が少なく、癌にかかる人の方が、はるかに多いことになります。



■自分は癌なんかにはかかりそうにないと思っている方、「癌を経験しないのは少数派」なんですよ。

ちなみに、癌にかかわらず、人間で死なない人は0%、つまりあなたはいずれ(近いうちか、遠い将来かに)100%死に至ります。

中年以降になったら(いや若いときから)死に至る時の自分のことを考えてやってください。



■さきごろ「天皇陛下、前立腺癌で手術」との報道がありました(これをお読みいただくころには、無事退院されておられる?)。

プライベートなことを公表なさることは、とてもつらい側面があることを、国民はしかと理解すべきでしょうが、泌尿器科医としては、多少解説せざるを得ません。



■まず手術を勧められたということは、早期の前立腺癌です。

放射線治療もよいのですが、目いっぱい照射する必要があるうえ、成績がわずかに劣ることから、泌尿器科の先生のほとんどは、まず手術を先に勧めます(放射線治療の専門家は、さぞかし天皇陛下に放射線治療を受けていただきたかったことでしょうが)。



■ホルモン治療もたいへん有効です(ただ遠い将来、いずれは、効かなくなってしまいます)。ですから七十六歳くらいを過ぎた高齢の方になると、手術ではなくホルモン治療が勧められます。

また、最近は腹腔鏡を使った手術もあります。

陛下はそのお話もお受けになったことでしょうが、前立腺癌で腹腔鏡手術をする医師は、せいぜい数%。今のところ標準の手術法にはなっていません。



 つまり天皇陛下の治療は実に標準的であり、早期の前立腺癌にかかった、同世代の国民の多くが選択する治療を、そのとおり選択されたといえるでしょう。



■前立腺癌は男性だけの病気ですが、西欧諸国に追いつけとばかりに、たいへんな勢いで増えています。

ご心配な方は血液のPSA(前立腺がんの特異マーカー)を測定してもらってはいかがでしょう。

地域医療部長(泌尿器科) 和食正久